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現在の流行:COVID-19も含めて(2/23)

 COVID-19新規感染症は、2月に入ってからも減少傾向は継続しています。それに伴いインフルエンザの流行が拡大するかと思われましたが、コロナ禍以前のような拡大は呈していません。しかし、それ以外の原因による発熱はみられています。3月にかけてスギ花粉症がピークを迎えますので、持病の方は予防対策をしておきましょう。

  COVID-19感染症の発生はその後も減少傾向が継続しています。それに伴い、5月8日以降、日本における感染症法の対象となる感染症の分類が、「2類相当」から通常のインフルエンザと同様の「5類」の感染症に引き下げられます。発生当初は、結核、鳥インフルエンザ(高病原性)、MERSSERS(コロナウィルス感染症)と同じ2類相当とされ、発生届の義務や入院勧告、就業制限などがありました。その後、20212月に「新型インフルエンザ等感染症」という新たな分類にされ、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、飲食店への営業制限などの要請が出せることが可能となりました。これが、インフルエンザと同様の5類感染症に位置付けられると、入院勧告はなくなり(といっても、これはすでに重症化あるいはそのリスクが高い方だけに限られている)、就業制限もなくなります。しかし、インフルエンザにおいても自粛的にあるいは職場の指示に従って、約1週間の自宅安静をとることは普通です。学校への登校の目安としては、発症してから5日以降かつ解熱後2日以降となっているので、成人においてもこれが基準となります。そもそもインフルエンザに限らず、感染症で具合が悪い場合は、5-7日程度の自宅療養は推奨されます。

 感染した個人の自宅安静はどんな場合も必要ですが、今回のCOVID-19感染症で新たに設けられたのは「濃厚接触者」という概念です。一緒に暮らしている家族は勿論、会社などで発生前に接触があった方は「濃厚接触者」となり、無症状でも当初は1週間、その後5日間と短縮されましたが、自宅隔離が必要となりました。「濃厚接触者」の定義は、「発生前にマスクなしで30分以上接触した人」となっており、その定義について異論はあるでしょうが、保健所からはそのような指示が出ていました。これが5類に分類されると、「濃厚接触者」の自宅隔離は要請されなくなります。しかし、そうなったとしても、職場などから、出勤前に抗原あるいはPCR検査で陰性であることを確認することを求められるようになるかもしれません。しかし、それは保険診療では認められず、自費検査となります。自費検査は一部の医療機関でしか実施できないと思われ、混乱を招きかねない問題点があります。

 マスクの着用についても、これまでの目安から緩和され(直近では屋外原則不要、屋内原則着用と以前より緩和されていましたが・・・)、5類に変更以前の3/13から、マスク着用は「個人の判断」が基本となります。ただし、医療機関や高齢者施設への受診や訪問、通勤ラッシュ時など電車・バスなどに乗車するときは推奨。高齢者、重症化リスクのある基礎疾患を有する方、妊婦さんなどは、自分を守るためには効果的。となっています。元来日本人は海外の方より、マスク着用を好む民族で、冬のインフルエンザ流行時や花粉症の時期はマスクをする方が多くなっています。これは国から強制化する必要はなく、あくまで個人の判断と思いますが、やはり発熱や感染により咳が多い場合はマスク着用は必須と思われます。また、医療機関や高齢者施設を「訪問」する場合にマスク着用が求められるのはやむを得ないと考えます。しかし、健康体である場合は、外出時にマスクをするかどうかは個人の自由と考えます。それでも、まだ「他人の目」が気になり、しばらくは外出時にマスクを着用する方は多いでしょう。新型コロナが5月に「5類」に移行 5類って? 何が変わるの? (asahi.com)

 マスク着用でそれ以外に問題になるのは、学校や保育所・幼稚園での対応です。特に幼児から小学生にかけては、通常の学校生活でのマスク着用は弊害点もあります。また、先生方の対応も難しくなります。子供の問題については親の意見もあります。これについて全員の意見が一致をみることはまずあり得ません。妥協点も必要です。感染症の流行時期とそうでない時期を分けた対応も必要になります。リスクをゼロすることは無理なことです。集団としての考え、個人の自由、それぞれのバランスで対応しながら、決して個人攻撃をすることがないことが望まれます

 また、5類になると「発熱外来」もなくなると予想されます。当院に関して述べると、当院は「発熱外来」は標榜していません。しかし、COVID-19感染症疑いも含めて発熱患者さんを診ないわけではありません。公に標榜はしていませんが、疑いのある方は診られる範囲で診ますという立場です。これは、隔離して検査する場所が3カ所しかとれない、待合で隔離ができない、多くの数をこなすマンパワーないという理由からです。「ふざけるな!」いうお叱りもあるでしょうが、これはクリニックとしての力の限界です。コロナ禍以前は、インフルエンザ疑いで発熱の方も、普通に待合で待機していただくことがありましたが、COVID-19感染症の出現により「隔離対応」が求められることから、疑いのある発熱の方を待合室に待機していただくことが出来なくなりました。ですから、発熱のある方は事前に電話をいただき、それにより受診する時間帯を振り分けて対応してきました。また、発熱していなくても検査の必要性がある方が、待合で待機している方から出てきます。検査で、COVID-19あるいはインフルエンザの診断だった場合は、処方薬を薬局から届けてもらい、こちらから説明をして、待合を通らずに帰宅していただいています。感染症以外で診療する方も、当然多くいらっしゃいます。ですから、どうしても検査数は多くはこなせないため、「発熱外来」を標榜することはとても出来ません。今後COVID-19感染症が5類に下げられた場合、発熱の方を普通に待合に待機していただいて良いのか・・・現実的には、出来るだけ分けるべきですので、以前の形態には戻れないのではないかと考えます。

 COVID-19感染症関連の話は以上にしますが、現在発熱でのCOVID-19陽性率は低くなっています。また予想より成人のインフルエンザも増えていません(勿論発生はあります)。近隣の小学校では、両方が混在して蔓延し、学級閉鎖になっているクラスもあります。その2つ以外のウィルス感染や細菌感染で発熱している方は多くなっています。特にこの時期は季節の変わり目で、寒暖差が強いため抵抗力が低下しやすく、花粉症のある方はアレルギー性鼻炎が細菌感染などで悪化する場合があります。また、COVID-19感染症やインフルエンザ感染後の咳喘息や喘息発作の方は非常に多く受診されています。咳喘息や喘息発作は、疲労や花粉症の悪化に伴い発症することが多々あります。喘息が持病の方は、日頃から吸入薬治療などを怠らないことや、花粉症の方も特に鼻炎を安定させておくことは重要です。しかし、基礎治療をしていても、感染や疲労ストレスが誘因で悪化します。以前から繰り返し述べていますが、特に小さいお子さんがいらして仕事もしている女性の方は、お子さんから感染症をもらいやすく、またその看病や仕事の疲労が重なると容易に喘息は悪化するので注意が必要です。

 今年はスギ花粉の飛散が多いと予想されています。花粉症が強い方は、発症以前から予防的に治療しておくと症状悪化が緩和されます。鼻炎症状が強い方は、抗アレルギー薬の事前服用だけでなく、鼻がむずむずし始めたら、ステロイド点鼻薬を併用しておくことも勧められます。また、漢方薬の併用あるいは単独服用でも有効な場合はあります。このあたりは個々の体質によりますので、それぞれの方のこれまでの経験から予め対症しておくと良いでしょう。 

 私たちは、生まれてから常に感染症のリスクにさらされています。人類は、感染症から生きぬいてきた者たちが残ってきています。抗生物質やその他感染症に対する薬が進歩したのは、たかだかこの100年くらいです。それ以前はそれぞれの地域の伝統医学で対症してきました。薬の進歩だけでなく、公衆衛生学、予防医学などの進歩で、救える命が増えました。一方、現代の生活で我々の抵抗力が弱ってしまっていることもあります。感染症に対する予防は、生活習慣病の予防に繋がります。日頃から運動する習慣づけをしながら、心の面も病まないように、心身の安定を図ることが大切です。