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コロナ雑感:日本の医療事情(12/17)

 11月以降も、COVID-19 CR陽性者数の増加は止まらず、マスコミでは連日過熱した報道を繰り返しています。原因の「犯人捜し」でGo Toキャンペーンがやり玉に挙げられています。もちろんそれも原因のひとつではあるでしょうが、やはり秋から冬の季節の変わり目、気温の低下、空気の乾燥によって、ウィルス感染による「風邪」を引きやすくなっていることが最も大きいと考えられます。また、よくある誤解が、現在発熱症状のすべてが、COVID-19感染症ではありませんCOVID-19以外のウィルス感染症の方が多く、さらに当然細菌感染症もあります。全国で13000人の陽性者が発生したとしても、日本人口12577万人に対しては、0.0024%ですから、10万人あたり2.4人になります。しかし、特徴的なことは、COVID-19は首都圏に圧倒的に多く発生していることです。特に、東京都、大阪府で3-4割を占めており、さらに周辺首都圏、愛知県、福岡県、北海道で大部分を占めている地域差が顕著です。

 千葉県、千葉市については、12/16までの千葉県の累計陽性者は8659人で千葉県人口約630万人に対して約0.14%、10万人あたり約140人千葉市の累計陽性者は1188人で、人口98万2357人に対して、約0.12%、10万人あたり約120人です。ちなみに、千葉市の区別でみると、稲毛区はこれまでの陽性者が152人(人口約16万人)で、10万あたり95.9人。ほか中央区300人(142.8/10万)、若葉区216人(144.6/10万)、花見川区209人(117.9/10万)、美浜区154人(103.0/10万)、緑区116人(89.4/10万)です。これを東京都でみると12/17までの累計陽性者が49490人、人口1396万人あたり約0.35%、10万人あたり350人ですから、千葉県の2.5倍もの発生があり、やはり都内の発生者はダントツに多くことが明らかです。

 このように、最近までの累計陽性者数や発生率をひもとくと、必ずしも高くない数字であることから、ほとんどの人は、これまでCOVID-19が流行している実感がないことになります。それなのに医療側から悲鳴の声があがってくるのはなぜでしょうか?ご存じとは思いますが、それは重症者を診る医療従事者の負担が多大であることからです。最大の煩雑さは、医療従事者が感染を受けないための防御策を講じなければならず、さらには、ほかの入院患者さんに感染を拡大させないようにしないといけないという、治療そのもの以外の負担です。そして、入院ベッドや集中治療室(ICU)をCOVID-19の患者さんでうめてしまうと、ほかの重症疾患の治療ができなくなります

 日本の集中治療の現状はというと(https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/1121)、ICUのベッド数は人口10万人あたり日本は5.6床ですが、ドイツは29.2床(イタリア12.5床)と非常に多く(欧州全体の平均11.5床)、日本のICU事情は良くないことがわかります(ただし、日本のICUと病棟の中間的なハイケアユニットもICUとみなすと日本のICU相当のベッド数は13.6床とする計算もあるようです)。さらに、集中治療専門医の数は、日本が1850名(2019/4/1時点)に対して、ドイツは8328名(2018/12/1時点)と、日本の集中治療専門医は足りていません。また、人工呼吸管理は、集中治療医以外に呼吸器医師も従事することがありますが、専門医の数は(専門医でないと呼吸管理ができないわけではありませんが)、2019年末時点で呼吸器専門医は6657名(学会会員数13363名)に対して、消化器専門医は21608名(学会会員数35109名)、循環器専門医14944名(学会会員数27578名)と、圧倒的に呼吸器に従事する医師は少ないのです。また、看護師の数も足りず、ICUに配置される看護師の数は患者2名に対して看護師1名(2対1看護)と定まっていますが、重症者の管理には、最低でも1対1看護以上が求められています

 また、この約20年の間に医療費削減政策のもと、公的病院の再編・統合に伴う病床数の削減が継続して行われてきました(https://www.hokeni.org/docs/2020071400019/)。1998年から2018年までに、全国の病床数は、約189万2000床から約164万1000床、感染症病床は9210床から1882床と削減されています(それでも諸外国より人口あたりの病床数は多いのも事実)。身近なところでは、千葉市仁戸名にある千葉東病院で、長らく結核を含め多くの呼吸器疾患を受け入れ治療していましたが、数年前に呼吸器内科は廃止となっています(呼吸器の病床数はかなりあった)。昨年9月のまだCOVID-19が問題になっていない時期に、厚労省は公的病院の25%、424病院について、さらに再編・統合が必要と通知しています(本年1月には440病院と増やしています)。そのリストには、現在COVID-19を受け入れている千葉市立青葉病院も入っています(もちろん呼吸器内科がある)。さらに、保健所も統廃合が進み1994852ヶ所、2002469ヶ所)、大阪市では24区それぞれにあった保健所は1ヶ所となり、現在大変なようです。最も、今回COVID-19がここまでの問題になるまでは、感染症疾患についての危機意識は、どんどん薄れていっていたという背景があることは否めません。

 このように日本が欧米と比べて死亡者、重症者が圧倒的に少ないにもかかわらず、現在医療崩壊が問題となり、1日の新規陽性者が2000人を超えてくると自粛が叫ばれる(フランスでは1日の新規感染者が5000人(日本での1万人相当)でロックダウン解除予定、イギリスでは同じく約12000人程度(日本の2.5万人)を下回るとロックダウンを段階的解除開始)のは、以上のような日本の脆弱な医療体制にも原因があると考えられます。

 残念ながらこのように優れているとはいえない医療状況下にある我々ですので、これから冬に向かってCOVID-19感染者を増やさないようするためにも、常識的な範囲で出来るだけの努力をするようにしましょう。しかし、異常に怖がったり、パニックなってはいけません特に高齢者にうつさない、病院や施設に持ち込まない、ためにどのように行動すべきかが重要です。外来で診察していると、「心が病んでいる」方が、非常に増えています。また、自粛による運動不足から、体重増加の弊害も顕著になっています。COVID-19に罹患しても軽く終わるためにも、日頃から軽運動で良いので、体をよく動かしながら、心を病まないような工夫をして、免疫力を下げないようにしておくことが重要です。病まないためには、人との交わりも大切ですから、最低限の予防策を講じながら、交流することも重要です。

 また、完璧に防いでいるつもりでも、不幸にも感染が起きてしまうことはありますが、それは、決して「犯罪者」ではありません。現在、クラスターが起きている学校、施設などの実名が報道されていますが、感染者や施設を責めることはしないようにしましょう。煽るような報道には惑わされず・振り回されずに、心身の安定を図るような日常を心がけましょう。

 尚、国立国際医療センターの国際感染症センター勤務で、COVID-19の最前線で治療にあたっている忽那賢志医師の記事(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/)は詳しいので、重症者を診ている苦しい立場からの意見としても、ご参考ください。

 また、京都大学ウィルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸先生がYou Tubeで発信している情報も、ウィルス専門家の立場からの率直な本音が聞けますので、ご参考にされると良いと思います。